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『星の王子さま』 たくさんの星、数えてどうするの?・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 サンテグジュペリ原作の童話『星の王子さま』に、夜空の星をひたすら数える「実業家」の男に王子が質問を浴びせるシーンがある

 「たくさんの星、数えてどうするの?」。男は答える。「星の数をだな、紙に書いて引き出しに入れて、鍵をかけておくのさ」。王子が「何のために」と問うと、男は返事に窮してしまう

 星を「お金」に置き換えると、王子の疑問はこう読める。何のために仕事をし、何のためにお金を稼ぐのか。お金を貯めるためだけに忙しい大人の生き方って何か変だよね、と

 王子が現代社会を見たら、きっと腰を抜かすに違いない。化けの皮がはがれた金融資本主義という「怪物」が世界を跋扈し、「金こそすべて」という風潮をはびこらせ、額に汗して稼ぐはずのお金を、カネを生む道具に変えた

 マネーゲームでばく大な富を手にする者がいる陰で、人が「物」のごとく使い捨てにされてしまう。急がれる景気回復が「怪物」の復活につながるのなら、新たな混乱を引き起こすことになるだろう

 先の物語では、地球で出会ったキツネが王子にこんな言葉を贈る。「本当に大事なものは目には見えないんだよ」。人が幸せになるために大切な物って何だろうか。王子も探し求めたその答えを、胸にじっと手を当て考えてみる時かもしれない。(稲嶺幸弘)

大弦小弦 沖縄タイムス 2009年1月8日 八葉蓮華 hachiyorenge

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