露の世は露の世ながらさりながら・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]
江戸期の俳人、小林一茶が幼子を亡くして詠んだ有名な一句がある。〈露の世は露の世ながらさりながら〉
この世がはかないものだとはいえ、それでも…。わが子に先立たれた親の無念さが伝わってくる。たとえ、わが子が成人であれ、親の悲しみが変わることはない
一昨日、千葉市であった告別式に参列し、そのことを痛感した。故人は朝日新聞記者のKさん。脳腫瘍(しゅよう)のため先月30日にシ去、享年41歳だった。10年前、那覇支局にも勤務し、基地問題を精力的に取材していた
Kさんは昨年2月に発症。摘出手術が成功し、6月には現場復帰するが、残った腫瘍が悪化し昨年末に再入院していた。この間、ずっと枕元で付き添い、わが子の最期を看取った母の気持ちを思うとき、一茶の句が胸に迫る
わが子に最後の別れを告げる親心を、万葉歌人の山上憶良がこう詠んでいる。〈若ければ/道行き知らじ/賄はせむ/黄泉(よみ)への使/負ひて通らせ〉(天国への使いの人よ、お礼はするので、道を知らないわが子を背負って連れていってほしい)
「元気な頑張り屋。年の割には少し子どもっぽい面も」。同僚らがこう評したKさんの遺影の前で、「(息子の分まで)しっかり生きていきたい」と振り絞るような声で話した母も憶良の歌と同じ思いだったのだろう。(稲嶺幸弘)
大弦小弦 沖縄タイムス 2010年2月4日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge
この世がはかないものだとはいえ、それでも…。わが子に先立たれた親の無念さが伝わってくる。たとえ、わが子が成人であれ、親の悲しみが変わることはない
一昨日、千葉市であった告別式に参列し、そのことを痛感した。故人は朝日新聞記者のKさん。脳腫瘍(しゅよう)のため先月30日にシ去、享年41歳だった。10年前、那覇支局にも勤務し、基地問題を精力的に取材していた
Kさんは昨年2月に発症。摘出手術が成功し、6月には現場復帰するが、残った腫瘍が悪化し昨年末に再入院していた。この間、ずっと枕元で付き添い、わが子の最期を看取った母の気持ちを思うとき、一茶の句が胸に迫る
わが子に最後の別れを告げる親心を、万葉歌人の山上憶良がこう詠んでいる。〈若ければ/道行き知らじ/賄はせむ/黄泉(よみ)への使/負ひて通らせ〉(天国への使いの人よ、お礼はするので、道を知らないわが子を背負って連れていってほしい)
「元気な頑張り屋。年の割には少し子どもっぽい面も」。同僚らがこう評したKさんの遺影の前で、「(息子の分まで)しっかり生きていきたい」と振り絞るような声で話した母も憶良の歌と同じ思いだったのだろう。(稲嶺幸弘)
大弦小弦 沖縄タイムス 2010年2月4日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge
コメント 0