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「ケンツビッチ音楽祭」トランペットの音色に連なる津堅さんのメッセージ・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 夏休みや旧盆で帰省する旧友との会話は楽しい。仕事や子どものことなど互いの近況報告に始まり、同級生や恩師、出身校の話に広げては時の空白を埋め、過去と今をつなぐ

 遠く、長く離れた人ほど故郷の事柄に敏感だ。この夏は普天間問題への政府対応に怒り、「沖縄に不明高齢者がおらずほっとした」と地域力を誇る友を見て、こちらもあらためて愛郷心を刺激された

 県出身トランペット(Tp)奏者の津堅直弘さん(60)が「ケンツビッチ音楽祭」と題し15日に浦添市で演奏会を開く。ケンツ―は作曲時のペンネームで「作曲家津堅」の作品のみを演奏する異色の舞台だ

 今年2月、32年間首席を務めたNHK交響楽団を退団した。定年まで首席を通したTp奏者は国内プロで例がない。技術や音楽性に加え気力、体力ともに優れた奏者の証しで日本Tp協会会長就任もうなずける

 演目の一部を聴く機会があったが、沖縄音階を巧みに取り入れた作品が多く、沖縄戦の悲劇に思いをはせ平和を願う「レジェンド」は圧巻。沖縄の美しさ、平和の尊さが音楽から伝わってくるようだ

 演奏活動の大半を県外で過ごした分、故郷への思いが募るのか。強く、優しく、輝いて…。Tpの音色に連なる津堅さんのメッセージも感じてほしい。てだこホールで午後2時半から。(上間正敦)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2010年8月11日 
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