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「流れる星は生きている」戦争の惨禍に苦しめられた人々・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 戦後、ベストセラーとなった藤原ていさんの「流れる星は生きている」は、3人の幼子を連れ、満州からの引き揚げ体験を記した壮絶な脱出行だ

 2歳と5歳の息子の手をとり、乳飲み子の娘を背負う過酷な道のり。容赦のない雨や寒さ、飢餓に耐え、時にぐずる子どもをひっぱたき、叱咤する。絶望の淵に立たされ、死の影におびえながらも、失わない生への執念に厳粛な気持ちになる

 藤原さんの夫、故新田次郎さんも中国で捕虜となり抑留生活を体験した。山や冒険をテーマに多くの作品を残したが、抑留体験を著したものはほとんどない。夫婦の間でも話をすることはなかった、という

 そんな思いを胸に、シベリア抑留と引き揚げの企画展を、糸満市摩文仁の県平和祈念資料館で見た。絵画のほか、著名な漫画家らの作品もあって、氷点下30~50度での作業など過酷な生活がいっそう生々しい

 故赤塚不二夫さんのイラストには、実家に到着した後、姉に背負われた妹が息を引き取った、という説明が添えられていた。一世を風靡したギャグ漫画からは想像もつかない作家の体験に身はすくむ

 戦後もなお異国の地で戦争の惨禍に苦しめられた人々。とりわけ、引き揚げは女性や子どもの犠牲が多い。その凄絶な記録も戦争体験同様、胸に刻みたい。(平良哲)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2009年5月18日 
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