「ヒット商品」柔軟な発想と商品開発までの綿密な計画・・・ 大弦小弦 八葉蓮華

　市場をにぎわすヒット商品には、売れるだけの理由がある。本紙水曜日の経済面で連載中の「ヒットのヒント」には、開発者のエピソードなどヒット誕生の舞台裏が紹介されていて興味深い

　ヒット商品に共通するのは、アイデアの柔軟さとコンセプトの明確さだ。「どこでも挟めるボールペン」は、携帯用音楽機器のスイッチのイメージで開発。女性向けを想定し大型クリップでブラウスなどに挟めるようにしたらクールビズの流れに乗り、男性にも受けた

　「誰でもきれいに仕上げられるよう」に開発されたのが電動マスカラ。開発した３３歳の女性は、毎分約７千回のミクロ振動でまつげ一本一本をマスカラ液で包み込む方法を考案、またマスカラの粘度の研究など４年を費やした

　小型化と高価格化が進む補聴器市場で、低価格の補聴器をヒットさせた３２歳の男性開発者。「加齢による聴力の衰えを自覚する早い時期から使ってほしい」との思いで、低価格を実現させた

　使う側に立ったコンセプトはヒットの重要な要素。２５～３５歳の女性の大半が「大人のニキビ」に悩んでいるという調査に基づき開発された内服薬は大ヒット商品になった

　柔軟な発想と商品開発までの綿密な計画。ヒットの裏側にあった泥くさいヒューマンストーリーは業種を問わず共通だった。（久高将己）

　大弦小弦　沖縄タイムス 2009年5月19日　
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