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伝えられてきた形「私」を超えて脈々とつながる手仕事へのこだわり・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 20年以上前、紅型復興に尽力した故城間栄喜さんに伝統文化を継ぐことの意義を尋ねたら、「仕事だからね」と返ってきた。熱意のほどを期待したが、口調は淡々としていた

 似たような言葉を、城間さんの弟子の藤村玲子さん(71)も第53回沖縄タイムス賞受賞のインタビューで述べている。「職人だから。生活に仕事がしみついている」と。歴史と深くかかわる職に携わりながらも驕らない姿勢。長年の経験に基づき高い領域に達した匠の心持ちなのだろう

 同じく受賞者の金細工師又吉健次郎さん(78)は、オリジナルの作品を作る方向になることを戒める。「伝統を継続するということは、伝えられてきた形を残すこと」と語っている

 浅はかな素人目からすれば、伝統工芸といえど作家の個性があっていいのではないか、一人一人のこだわりや目新しさが作品からにじみ出ることがあってもいいのでは、とも思う

 しかし、歴史を振り返ると、多くの無名の職人の礎があって、現在の工芸があるのは確かだ。歴史の重みの前に「滅私」し、受け継いできた伝統の本流を守り通すことの大切さを、又吉さんは説いたのだと思う

 長く使用され愛されている工芸品には過去の評価に耐えた重みがある。「私」を超えて脈々とつながる手仕事へのこだわりもまた見えてくる。(平良哲)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2009年6月29日 
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生まれ育った思い出深い土地「柵で囲われた国有地」誰のものだろうか・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 その風景を初めて見たのは13年前だった。住宅街の屋敷跡にポツン、ポツンと立てられた「国有地」の看板。不自然に植えられた木々。胸がギュッと締め付けられた

 場所は、若者でにぎわう街に近い北谷町砂辺。米軍嘉手納基地からとどろく軍用機の爆音に耐えきれず、生まれ育った思い出深い土地を、手放さざるを得ない住民が何人もいる証しだった

 国は復帰後、騒音の深刻な同町と嘉手納町の一部地域を対象に「希望者」の土地の買い上げや建物の移転補償をしている。こうして生まれた国有地が、この5年で加速度的に増えている(14日付朝刊)

 2008年度末で、2町合わせて259筆、旧奥武山球場4個分の8万7538平方メートル。虫食い状態で点在した屋敷跡と屋敷跡がつながって「緑地」が広がる現状は「国がどこを向いて政策をしているのか」明瞭で分かりやすい

 土地を買い取ることで住民を転居しやすくさせる一方、悪化する騒音問題は「米軍の運用」と腰が重い。この状態で、祖先から受け継いだ大切な土地を、住民が「選択」「希望」して手放したとは言えまい

 かつて沖縄は米軍基地に土地を奪われた。今は、基地の外の土地でさえ侵され、脅かされる。自宅跡が「柵で囲われた国有地」に変わる無念は計り知れない。「わした島」は誰のものだろうか。(与那嶺一枝)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2009年6月28日 
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ストリートダンスの元祖「見せる音楽」進化を続け・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 深夜のビル街に動く人影はダンス少年たち。通りかかると緊張が走る。でもふいに向こう側から「こんばんは」のあいさつ

 大きなガラスを鏡に街灯の光を頼ってストリートダンスの練習に励んでいる。彼らの、いわゆるヒップホップなファッションは一見不良っぽく映るが、それがセンスなのだ。みんなで動きとリズムを確かめつつ創作も加えている

 見えない場所で遊ぶより、ずっと健全だ。それどころか、片手で体を支えジャンプし回転を加えたりと、体操選手並みの身体能力。オリジナルな技を繰り出すパフォーマンスは、やはりカッコイイ

 行政が大会を開くほど市民権を得たストリートダンスの元祖はといえば、誰もがマイケル・ジャクソンと答えるに違いない。しかし残念ながら昨日、50歳の生涯を閉じた。同世代のダンスが好きな女性は、彼を「神様」と呼んだ

 「ジャクソン5」時代の歌って踊る天才少年ぶりも忘れられない。県出身の「フィンガー5」も彼らを模した。ソロデビュー後も「見せる音楽」は進化を続け、華麗なダンスがいつもセットだった

 ここ十数年は時に奇行も伝えられたが、絶頂期の輝きは失われていない。彼は今やっと「ネバーランド」に戻り、動物や子どもたちに囲まれて本来のピュアな心のまま永遠の時を過ごすのだろう。(山城興朝)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2009年6月27日 
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「自信」は、それが実証できたことで、さらに大きな手応えとなり「確信」となっていく・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 このところ、県内の高校スポーツ界が元気いっぱいだ。先週末から今週初めにかけて開催された九州総体での活躍で、連日紙面がにぎわった

 21日は2団体、11個人が優勝。次々と入る「V情報」に運動部員はてんてこ舞い。「また優勝者が出ました」の声に、うれしい悲鳴を上げながら部員総出で電話をかけまくった

 陸上男子百、二百メートル2冠の木村淳君(中部商3年)は、この成績を県総体時から宣言していた。今回の優勝でさらに手応えをつかんだのだろう。「全国総体で百、二百、四百メートルリレーでの3冠」という県総体時の約束をあらためて結んでくれた

 「柔道王国・九州」を制した男子90キロ級の伊禮祐君(沖尚3年)、女子52キロ級の玉木聖子さん(同2年)も「優勝は狙っていた」と話した。その自信の裏付けを聞くと、2人は「今まで練習してきたことを発揮できれば大丈夫」と確信していたという

 「自信」は、それが実証できたことで、さらに大きな手応えとなり「確信」となっていく。九州総体は今週末のバスケットボール、7月のソフトボールや相撲、空手道、剣道など、有望種目も県内で開かれる

 競技は違うが、同じ沖縄の高校生の活躍は、大きな刺激となることだろう。この分では今年の全国総体は、例年以上に忙しくなりそうだ。(船越三樹)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2009年6月26日 
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「フクギの雫」忘れたいけど忘れてほしくない、忘れてはいけない・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 以前見たテレビ番組で、ある研究所の調査結果として、人間の記憶について興味深いデータを紹介していた

 人は通常、楽しい記憶を6割、悲しい記憶が3割、どちらでもない記憶を1割の比率で胸に秘めているらしい。悲しい記憶が4割を超えてしまうと、人は辛くて生きていけないため、無意識に忘れようとするのだという

 記者の仕事は時に、人に悲しい記憶を思い出させたりもする。社会面で始まった、宮森小米軍ジェット機墜落事故から50年の企画も、遺族の辛く、悲しい記憶を聞き取りしたものだ

 理不尽と言うしかない悲惨な事故である。これまで、犠牲になった児童11人を含む17人の遺族は事故について多くは語ろうとはしなかった。いざ語り出せば、悲しい記憶がとめどなくよみがえるからだと察する

 わが子に先立たれた悲しみを、歌人の窪田空穂は自身の体験からこう詠んだ。〈親といへば/我ひとりなり茂二郎/生きをるわれを悲しませ居よ〉。子を亡くした親は、子のために悲しむことしかできないのだと。歌を遺族の心情に重ねた時、50年という歳月の重さを思う

 事故を語り継ごうと、地元の児童らが演じる劇「フクギの雫」の副題は「忘れたいけど忘れてほしくない、忘れてはいけない」。振り絞るように悲しい記憶を語った遺族の思いでもある。(稲嶺幸弘)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2009年6月25日 
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「慰霊の日」ヌーヌアティン イクサヤ ナイビランドー・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 人のしを悼む気持ちは誰でも同じ。でも、そのしの意味を考えるところで違いが出てくる。そう整理するしか方法がない

 23日の「慰霊の日」、摩文仁を含め沖縄戦最後の激戦地、本島南部の戦跡を訪ねてそう思った。追悼式典が開かれた会場の奥に位置する丘陵地に林立する各県の慰霊塔。かつて問題になったような戦争を美化する碑文はそれほどない

 でも別の地には「優勢なる米軍に対し熾烈なる砲火をあびせ(略)住民とともに勇戦奮斗せる我が軍は(略)悠久の大義に生く」といった文言もある。戦しを意義づけたい気持ちが人情なのか

 一般参加者にとっての主会場は式典会場のテントより「平和の礎」だ。高齢を押して杖をつき足を引きずりながらも肉親の刻銘を探す姿は痛々しい。名前を見つけ手を合わせると安心したような顔になる。木陰に座り思い出話をする

 お国のためというのは企業のために働き過ぎて体を壊すみたいなもんだ―。吐き捨てるような言葉。「ヌーヌアティン イクサヤ ナイビランドー(何があろうと戦争はごめんですよ)」とも

 こうした沖縄の遺族の偽らざる言葉と碑文の間に温度差を感じる。戦しを意義づけるあまり戦争への反省がなおざりにされてはならない。慰霊の日は、15年戦争を振り返り、反省する日でありたい。(真久田巧)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2009年6月24日 
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鎮魂の思いを込めて「悼む人」愛し愛され、感謝された人たち・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 立ち木を揺らすようなせみ時雨も、し者を弔う静寂を演出する。私たちはきょう、多くのし者と向き合う。それはこの島に生まれた者すべてがかかわるものだ

 直木賞を受賞した小説「悼む人」(天童荒太著、文芸春秋)の主人公は、事件や事故の現場でし者を悼む旅を続ける。そしてし者を知る人々に問いかける。誰を愛し、愛され、何をして感謝されたか―と

 碑に刻まれた幾多の人々もまた、愛し愛され、感謝された人たちだ。島の各地で、戦没者を知る人や子孫らが、そのしを悼む。想像を絶する苦難の中にいたであろうことへの鎮魂の思いを込めて

 天童さんは米同時テロの報復攻撃に対し「本当の意味でしが悼まれていない」と感じた。それが「悼む人」執筆のきっかけになったという。沖縄戦の悲劇を繰り返させないために、私たちは「悼み」続けるしかない

 生き延びた人たちの語る体験を聞くこともし者を悼む行為の一つではないか。封印してしまいたいはずの辛い記憶。その扉を必しで開けようとする人たちの思いにもこたえたい

 しかし、世界で紛争は絶えない。外電は連日のように武力やテロによる犠牲を伝える。し者は数として報じられるがしに軽重はないはずだ。一人一人が誰を愛し、愛されたか、きっと誰かが問うていたはずだから。(久高将己)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2009年6月23日 
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六十数年たっても癒えない「慰霊の日」思い出したくないが体は覚えている・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 毎年、梅雨の時季が訪れると戦争について考えさせられる。肌を刺すような暑い日もあれば、くるぶしまでぬかるむほどの大雨の中で、多くの人が戦火を逃げ惑った、あの年を思う

 当時気象業務にあたっていた職員にとって、梅雨のこの時期は特別な感慨があると思う。21日付本紙で紹介された喜瀬宏さん(82)もその一人だ

 戦時下では、気象情報は重要な機密だ。晴れか雨か、天候の違いが時に軍事行動の結果を左右する。敵に追われ銃弾が飛び交う中でも空を見上げ観測し続けたというから、職員らの緊張感は並大抵のものではなかったはずだ

 風や雲、雨の不思議さ、自然の成り立ちを追い求めた豊かな好奇心は、戦争によって国家機密の中にはめこまれ、翻弄された。個の存在を顧みない戦時の空気が、じめじめした梅雨の不快さや陰鬱さと重なる

 多くの同僚を失い命からがら生き延びた喜瀬さんは「思い出したくないが体は覚えている」と話す。銃弾の傷あととともに、体に刻み込まれた無念さとむごい記憶は六十数年たっても癒えない

 あす23日は「慰霊の日」。例年梅雨明けの目安でもあり、この時季は生命が躍動するように晴れ渡る。悲惨な時代の悲しみを抱えながらも絶望から生還した人々の力強さを映し出すようでもある。(平良哲)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2009年6月22日 
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真の「良き隣人」になるためには、まずルールをフェアにしなければ・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 普天間に残るAサインバー。といってもその制度はないので額入りの許可証と、天井を埋め尽くした1ドル紙幣が往時のまま

 紙幣は、ベトナムなどの戦地に赴く米兵らが、帰還を約束して張ったのが始まりだという。その数ざっと3000枚。いまでも若い米兵や軍属が訪れにぎわう。気が合えば一緒に飲んでカラオケを歌い回し、興に乗って腕相撲も

 勢い相手の雰囲気をみて政治的な話題に。「米軍が沖縄に駐留する意味はあるか」とか「日米地位協定は不平等だ」と言っているつもりだが、英語力の問題で意思疎通できずウヤムヤのまま終わる

 または、こちらの自転車チーム練習に参加したり、大会で競って知り合いになる人も。イラク派遣前は無事を願い、転勤で沖縄を去るときはお礼のホームパーティー。スポーツを通じた交流なので、微妙な基地問題には触れない

 彼ら個々人に責任はないが、やっぱり地位協定の不平等さには納得がいかない。公的行事で酒を飲み帰宅することまで「公務」なんて、あり得えるか。両政府が見直しへ協議中というが、遅すぎる

 日本がのむ形で合意した1956年といえば島ぐるみ土地闘争のころ、名実ともに占領時代だった。真の「良き隣人」になるためには、スポーツと同じように、まずルールをフェアにしなければ。(山城興朝)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2009年6月20日 
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高校野球の「夏」に懸ける思い、どんなドラマが展開されるだろう・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 第91回全国選手権大会の県代表を決める高校野球の沖縄大会が20日、開幕する。63校が聖地・甲子園球場を目指す今年は、どんなドラマが展開されるだろう

 最近では、県大会初の決勝再試合となった一昨年の興南対浦添商。昨年大会の浦添商・伊波翔悟、沖尚・東浜巨のライバル投手対決など、数々の場面がよみがえってくるファンも多いだろう

 取材を通して、その裏にある多くの敗者の涙を見てきた。グラウンドに突っ伏し、ベンチ裏の壁に額を押しつけ、真っ赤になった目をタオルで覆い隠し、チームメートや家族と抱き合い…

 グラウンドで戦った選手だけではない。ベンチ入り登録は各校20人まで。スタンドで声を枯らしながらチームを勇気づけた、背番号のない3年生の号泣する姿を何度も目にした

 3年生にとっては負けた時点で高校野球に別れを告げることになる。それだけに「夏」に懸ける思いは強い。だからこそだろう、敗れ去った選手たちは口にする。「ごめんな」「ありがとう」と

 本日付紙面の特集で、亜細亜大に進んだ東浜君は後輩に「後悔するな」とメッセージを送っている。勝ち負けだけではない。選手たち、特に3年生は完全燃焼してほしい。支えてくれたチームメートや家族のためにも―。そんな思いが込められていると感じた。(船越三樹)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2009年6月19日 
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