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人生を味わい尽くした清廉さ、たたき上げの自尊心と凄み・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 大女優には人生を味わい尽くした清廉さがある。国民栄誉賞が決まった森光子さんは1961年以来、舞台「放浪記」の主演を2017回続けてきた。代役なしの快挙だ

 森さんの演技を世襲することはできまい。そこに役者の奥深さがあるのだろう。一方、世の中に世襲は多い。政治の世界もまたしかり。歴代首相も、すっかり“家業”の趣。政治屋という商売があるなら、小泉商店、安倍商事、福田物産などと皮肉りたくもなる

 政治家の世襲が批判されて久しい。地盤、看板をそのまま引き継ぐ世襲議員に比べ、新しい人が現れにくい。ゼロからのスタートがハンディとなり、能力があっても狭い扉を開けるのは容易なことではない

 自民党が議員の世襲制限へ動きだした。「世襲=悪」とは言わない。親以上に力を発揮する人もいる。が、今の政治を見ると、閉塞感を打ち破る新しい“血”が待たれる

 政治家には捨て身で国を興す気概とともに、野心や胆力も必要だ。しかし、自民、民主の両党首のみならず、世襲議員はスマートだが線の細さが目立つ。厳しい風雨に打ち勝つ骨太さが感じられない

 森さんは舞台終演後、「若い人を引っ張っていけるよう努力します」と語った。89歳。芸を極める意欲は天井知らず。清廉さの中に、一代きりのたたき上げの自尊心と凄みが漂う。(平良哲)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2009年6月1日 
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