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六十数年たっても癒えない「慰霊の日」思い出したくないが体は覚えている・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 毎年、梅雨の時季が訪れると戦争について考えさせられる。肌を刺すような暑い日もあれば、くるぶしまでぬかるむほどの大雨の中で、多くの人が戦火を逃げ惑った、あの年を思う

 当時気象業務にあたっていた職員にとって、梅雨のこの時期は特別な感慨があると思う。21日付本紙で紹介された喜瀬宏さん(82)もその一人だ

 戦時下では、気象情報は重要な機密だ。晴れか雨か、天候の違いが時に軍事行動の結果を左右する。敵に追われ銃弾が飛び交う中でも空を見上げ観測し続けたというから、職員らの緊張感は並大抵のものではなかったはずだ

 風や雲、雨の不思議さ、自然の成り立ちを追い求めた豊かな好奇心は、戦争によって国家機密の中にはめこまれ、翻弄された。個の存在を顧みない戦時の空気が、じめじめした梅雨の不快さや陰鬱さと重なる

 多くの同僚を失い命からがら生き延びた喜瀬さんは「思い出したくないが体は覚えている」と話す。銃弾の傷あととともに、体に刻み込まれた無念さとむごい記憶は六十数年たっても癒えない

 あす23日は「慰霊の日」。例年梅雨明けの目安でもあり、この時季は生命が躍動するように晴れ渡る。悲惨な時代の悲しみを抱えながらも絶望から生還した人々の力強さを映し出すようでもある。(平良哲)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2009年6月22日 
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