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「フクギの雫」忘れたいけど忘れてほしくない、忘れてはいけない・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 以前見たテレビ番組で、ある研究所の調査結果として、人間の記憶について興味深いデータを紹介していた

 人は通常、楽しい記憶を6割、悲しい記憶が3割、どちらでもない記憶を1割の比率で胸に秘めているらしい。悲しい記憶が4割を超えてしまうと、人は辛くて生きていけないため、無意識に忘れようとするのだという

 記者の仕事は時に、人に悲しい記憶を思い出させたりもする。社会面で始まった、宮森小米軍ジェット機墜落事故から50年の企画も、遺族の辛く、悲しい記憶を聞き取りしたものだ

 理不尽と言うしかない悲惨な事故である。これまで、犠牲になった児童11人を含む17人の遺族は事故について多くは語ろうとはしなかった。いざ語り出せば、悲しい記憶がとめどなくよみがえるからだと察する

 わが子に先立たれた悲しみを、歌人の窪田空穂は自身の体験からこう詠んだ。〈親といへば/我ひとりなり茂二郎/生きをるわれを悲しませ居よ〉。子を亡くした親は、子のために悲しむことしかできないのだと。歌を遺族の心情に重ねた時、50年という歳月の重さを思う

 事故を語り継ごうと、地元の児童らが演じる劇「フクギの雫」の副題は「忘れたいけど忘れてほしくない、忘れてはいけない」。振り絞るように悲しい記憶を語った遺族の思いでもある。(稲嶺幸弘)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2009年6月25日 
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