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弱肉強食の世界に泳ぎだした人工ビーチで生まれた小さな命・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 写真部にとって難敵がいる。ほとんどが住所不定でアポが取れない。せっかく探し出してカメラを向けても、無表情か、逃げられることもある。常識も言葉も通じない

 難敵とは「野生生物」。記者は事前に情報を集め、時機を見定め、被写体を決める。海に潜り、山に分け入り、何時間も粘ってシャッターを押す。そんな取材は裏話にも事欠かない

 宜野湾・トロピカルビーチのアカウミガメふ化は長期戦だった。徹夜も含め通い詰めて19日目、ようやく会えた。しかし夜9時の砂浜は照明が光り、ビーチパーティーや花火で騒がしく、子ガメはピクリとも動かなかった

 そこでビーチ管理会社の社員らがブルーシートで光をさえぎってあげると、1匹ずつだが歩きだした。ほかの市民らも子ガメが照明の方に行かないよう、衣類などで影を作り海まで誘導した

 人工ビーチで生まれた小さな命。今後、教育や環境、観光面でいい資源になるかもしれない、と皮算用もしながら、この浜に帰ってくることを願い、5時間かけて約30匹を見送った

 ふと海面に光を当ててみると、カニに食べられ、無残な姿で漂う子ガメがいた。人間の思惑や感傷なんて関係ない、弱肉強食の世界に泳ぎだした姿を目に焼き付け、せめて同じ島に住む仲間として、何ができるか考えたい。(平良秀明)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2009年7月31日 
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