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一面茶色の絨毯の織り目から明るい緑色の芽が何か言いたそうに顔を出している・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 猫の額ほどの庭をヤラブ(テリハボク)の枯葉が覆いつくしている。二重三重に層をなしていてまったく地表が見えない

 一面茶色の絨毯の織り目から明るい緑色の芽が何か言いたそうに顔を出している。頭上の枝から落ちた実が新しい命をはぐくんでいたのだ。島ではその実のことをゴッコンナーと呼んでいた。落ちるときの音を擬音語化したのだろう

 連休にダラダラするのも何だからと家人に言われる前に腰をあげ熊手を使って枯葉集めに精を出す。柄の長さの分、距離があるが、袋詰めの段になると地表がグッと近くなる。そこで気づいた

 枯葉に隠れて見えなかったゴッコンナーの数の多いこと。半端じゃない。枯葉も土も同系色だから見えなかったのだろう。芽を出すことなくそのまま朽ちていたのだ。その一群を確認した瞬間、突然ある記憶が甦ってきてハッとした

 20年以上も前のことだ。糸満支局勤務のころ、北海道から遺骨収集に来た人たちに同行して、具志頭の山の中で発掘作業を取材した。土と一体化した遺骨は同じ色をしていて見つけにくかった

 わが家の庭のおびただしいゴッコンナーの一つ一つが人間の頭蓋骨に見えた瞬間、人を駒のように扱う軍隊の論理の怖さに背筋が寒くなる思いがしたのだ。ことしもまた8月15日が近づいてきた。(真久田巧)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2009年8月5日 
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