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世界が激動し、日本が転換点に立つなかで聞く宮沢賢治の詩・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 忘年会がピークを迎えた今月22日、詩の朗読会へのお誘いを受けたので出掛けた。部屋の中央に階段があるカフェだった

 朗読したのは岩手県盛岡市出身で沖縄在住8年になる画家で詩人の宇夫方隆士(うぶかたたかし)さん。自作の詩のあと、その階段を使って宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を盛岡弁で披露した。土地の厳しい風土を彷彿(ほうふつ)させる実に味のある読み方であった

 そのなかで興味深いことがあった。詩の最後から5行目に「ヒデリノトキハナミダヲナガシ」とあるが、実はヒデリではなくヒドリではないかというのだ。専門家の間でもそんな論争があると

 この詩の存在が明らかになった黒い手帳にはヒドリと書かれていたらしい。ヒトリが盛岡弁ではヒドリになる。宇夫方さんもそのほうがすっきりするとの趣旨から、この日もそう読んだ。実に説得力があり心にすっと落ち込んできた

 世界が激動し、日本が転換点に立つなかで聞く賢治の詩には、大いに考えさせるものがある。年の瀬ならなおさらである。争いごとを嫌いつつましく暮らす理想郷を求めた賢治に思いをはせた

 さて、人事異動で他局へ移ることになった。10年間543回にわたって書いてきたこのコラムともお別れだ。話題になることを提供できたか心許(こころもと)ないが、長い間の愛読に感謝したい。よいお年を。(真久田巧)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2009年12月30日 
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