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「七草の節句」春の七草入りのお粥をつくる・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 〈あはれ子の /夜寒の床の/引けば寄る〉。現代女流俳人の草分けだった故中村汀女(ていじょ)の代表句という

 寒さが厳しい夜、わが子の床だけが離れていることに気づき、気になって寝付けない。思い切って引き寄せてみると、すっと寄ってきた。そのはかない「軽さ」に胸が詰まり、わが子への愛情がぐっとこみ上げてきた親心を詠んだものだ

 半世紀も前の作品だが、親の心は不変だろう。わが子の床を引き寄せ、風邪をひかぬよう布団をかけてやる。床を引く手に子の成長を感じ、け飛ばした布団をかけ直してあげる。寝不足が続く親御さんも多いのではないか

 「台所俳人」と称された汀女にはこんな作品もある。〈咳の子の/なぞなぞあそび/きりもなや〉。病み上がりのわが子が外で遊びたいと言うが、ぶり返すのが心配で、母は「なぞなぞ」に延々と付き合ってあげるのだと

 先の句からも、「寒い冬」には親子の絆(きずな)が強まる不思議な力があるように思う。遠い記憶をたどれば、寒い冬に熱を出して寝込んだ幼年時代、母親がつくってくれたお粥(かゆ)の味は格別だった

 きょうは「七草の節句」。健康と無病息災を願い、春の七草入りのお粥をつくるお宅もあるだろう。七草粥(がゆ)が寒さを吹き飛ばし、身も心も温めてくれるのはきっと、愛情という「隠し味」のせいなのだろう。(稲嶺幸弘)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2010年1月7日 
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