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孤立と不安の中、うその自白を仕立て上げられるやりとり・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 密室で、さまざまな証拠を突きつける警察官や検事を前に、個人が身の潔白を証明することがいかに困難なことか

 足利事件の再審公判で再生された録音テープには、取り調べを受けた菅(すが)家(や)利和さんが沈黙する場面が多い。7時間余りのやりとりに、菅家さんの心の揺らぎや検事の誘導、人格否定ともとれる様子が生々しく残っていた

 警察の取り調べの段階で、すでに菅家さんには恐怖心があったようだ。「なんか怖い感じがした」と言うのに対し、検事は「僕からもされると思った?」。「えっ、ふふふ」。物腰は柔らかだが、遠回しに恐怖をあおる手管に映る

 目を伏せる菅家さんを訝(いぶか)り、沈黙すれば「うん?」「ん?」。そして、「やったのか君」「やっぱりそう。事件やったの?」。孤立と不安の中、心理的に追い詰められた人が、うその自白を仕立て上げられるやりとりに背筋の冷える思いがする

 検事はDNA鑑定の精度が千人に1・2人程度であることを知っていた、と証人尋問に答えている。ならば、もっと慎重な取り調べが必要のはずだ

 科学捜査が進む一方で、「自白」への都合のいい解釈で、冤罪(えんざい)が後を絶たない。テープが残した教訓は大きい。公正な取り調べに向けた録音・録画など可視化の実現を早めたい。失われた17年半の歳月に報いるためにも。(平良哲)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2010年1月25日 
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