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飽食の今、種の保護より食欲・食文化が優先するのか・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 最後にヤシガニを食べたのはいつだったろうか。父母の故郷宮古島での夏休み、満天の星の下、ピックアップトラックの荷台に乗り込み、海岸沿いの道を探し回った

 翌朝、真っ赤にゆで上がったヤシガニを前に「赤くならないのは毒だよ」と言われたことは鮮明に覚えているが、肝心の味の方はおぼろげだ

 多良間村が来月からヤシガニ保護条例を施行する。甲長8センチ以下や抱卵中の雌、産卵期(7―8月)の採取を禁じ、違反者には10万円以下の罰金を科す。乱獲を防ぎながら、有用な資源として持続的に活用していくのが狙いという

 ヤシガニは国や県の絶滅危惧(きぐ)Ⅱ類に指定されている。Ⅱ類は絶滅の危機が増大している種で、ウミガメやキシノウエトカゲ、サシバなども含まれる

 これら野生生物は戦後の食糧難の時代、生きるための貴重なタンパク源だった。「タカジューシー(サシバの雑炊)は最高だった」と言う人もいるが、もう口にできない郷愁が記憶の味をより良くしているのだろう

 カタールで開かれているワシントン条約締約国会議では、大西洋と地中海産のクロマグロの国際取引が規制される可能性がある。これも乱獲が原因だが、多様な種の保護よりもヒトの金もうけ、食欲・食文化が優先するのか。飽食の今、じっくり考える機会にしたい。(平良秀明)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2010年3月19日 
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