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私たちの生活「書く」から「打つ」常用漢字も今の時代の投影・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 入社したころ、記事は手書きだった。原稿用紙には挿入や削除が入り乱れ、汚い原稿に閉口した。しかし、ワープロの登場で、文章や文節ごとに切り張り、うろ覚えの漢字もすぐ画面に現れ、便利さに感心した

 今では、文字は「書く」から「打つ」比重が大きい。難しい漢字も手軽に使えるようになったことから常用漢字が191字増え、2136字となる最終案がまとまった

 「熊」や「梨」など都道府県名の文字が含まれてなかったというのは意外。憂うつの「鬱」、わいろの「賂」などは近年、頻繁にお目にかかる

 漢字学の第一人者、故白川静さんは「文字をはなれて文化の発展はありえない」とし、文字は文化の担い手であり、「漢字は歴史(中略)の、大動脈をなしている」と語る(漢字百話「中公新書」)。新しい常用漢字も今の時代の投影だ

 一方で、「勺(しゃく)」や「匁(もんめ)」は退場の憂き目に。ルビなしでは読めない方も多いはず。前者は容積などの、後者は重量の単位を表す。「斤(きん)」も以前、削除の俎上(そじょう)に載ったが、「パンを数えるのに使う」と免れた。尺貫法が私たちの生活から遠くなった実感

 「漢字は古代人が作った知恵と世界観のカプセル」(阿辻哲次「漢字の知恵」)という。先人の感性に触れる機会が多ければ、書けない漢字も減るに違いない。(平良哲)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2010年4月19日 
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