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止まったままの時間「時の翼」で少しでも悲しみを癒やしてくれれば・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 「時の翼に乗って悲しみは飛び去る」。17世紀のフランスの詩人、ラ・フォンテーヌの言葉という(「寓話(ぐうわ)」岩波文庫)

 時間は悲しみを消し去ってくれるものだが、時の翼に乗らぬ悲しみもある。最愛の肉親を奪われながら、犯人が捕まっていない遺族の悲しみが最たるもので、事件後、遺族の時間は止まったままなのだろう

 おととい、サツ人罪などの公訴時効の廃止、延長を柱とする改正刑事訴訟法などが衆院で可決・成立、即日施行された。人をシなせた罪を対象とし、時効が成立していない過去の事件についても適用するのが特徴だ

 遺族が苦しみ続ける時間を、身を潜めた犯人が時効という「時の翼」に変えて逃げ切る。今回の法改正は、遺族の心情に配慮し、歪(ゆが)んだ構図を「時」を止めることで是正したものである

 法成立を受け、時効撤廃を求めてきたサツ人事件被害者遺族会のメンバーらは「もう時効はないのだから犯人は自首してほしい」と呼びかけたが、多くの遺族も亡き肉親に思いをはせ、無念を晴らすことを誓ったのだろう

 時効撤廃には、証拠の長期保管、えん罪防止の徹底など捜査上の課題も山積している。とはいえ、今はただ、遺族の方の止まったままの時間が動き出し、取り戻した「時の翼」で少しでも悲しみを癒やしてくれれば、と願う。(稲嶺幸弘)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2010年4月29日 
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