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「朝刊は厚みを増す」時間との勝負だった夕刊が、きょうを最後に役目を終える・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 新聞の業界用語で「勧進帳」とは、電話で記事をそらんじること。締め切りまでに原稿を書く時間がないときにやらされた

 取材メモを見ながら「えーっと」を連発し、頭の中で文章を組み立てるのだが、うまくいかない。電話の向こうで受けのデスクが「で相手は何と言った」とか「…指摘した、だな」などと誘導し、しっかり原稿にまとめてくれた

 そんな胃の痛くなる思いをするのも夕刊作業ならでは。特に先島には飛行便で送るから、発送が遅れるとアウトなのだ。取材、原稿化、編集、印刷と、どの工程もピリピリ、まさに時間との勝負だ

 紙面編集の担当だったころ、こんなことがよくあった。締め切りは迫るのに記事が出ない。割り付け用紙は真っ白だ。画面で組む技術さんたちも帰ってしまった。始末書じゃ済まされないな、という場面で夢が覚めてほっとする

 「おれたちは作家じゃないぞ。短い時間で目の前の出来事を的確に説明する文章を書けるのが新聞記者なんだ」と先輩たちはよく言っていた。モタモタせず書く速度を上げろ、との戒めでもあった

 その夕刊が、きょうを最後に役目を終える。活字としての速報性は落ちるが、統合先の朝刊は厚みを増す。新しいネタ、ためになる情報を盛り込みつつ、分かりやすい紙面づくりを心がけたい。(山城興朝)

大弦小弦 沖縄タイムス 2009年2月28日 
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「ウチナーグチ」消滅の危機。琉神マブヤー必殺技は「スーパーメーゴーサー」・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 山之口貘が三十数年ぶりに古里の土を踏んだ際のエピソード。「ガンジューイ」とあいさつしたところ「おかげさまで」と返された。「おまけに沖縄語がうまいとからかわれた」という

 戸惑いは代表的作品「弾を浴びた島」につづられる。貘の帰郷は一九五八年のこと。標準語励行運動が、学校や地域で盛んだったころだ

 ユネスコの調査によると、全世界で六千前後ある言語のうち、約二千五百が消滅の危機にさらされている。その中に「八重山語」や「与那国語」など県内五地域の言語が含まれる(20日付朝日新聞夕刊)

 親から子へ継承されない言語は、いずれ消えゆく運命をたどるのだが、言葉は単なるコミュニケーションの手段ではない。言語が失われるということは、固有の文化が失われることでもある

 子どもたちの間で県産ヒーロー「琉神マブヤー」が人気だ。繰り出す必殺技は「スーパーメーゴーサー」。そのごっこあそびを見ていて、相手を最後まで追い込むのではなく、お仕置きをするというメーゴーサー(げんこつ)のニュアンスがよく伝わっていると感心した

 ウチナーグチを残そうとの運動には共感しつつ、実生活ではほとんど使う場面がない。しかし自らのアイデンティティーを表現する適切な言語もまたウチナーグチにしかないと感じる。(森田美奈子)

大弦小弦 沖縄タイムス 2009年2月27日 
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最愛の肉親を引き裂いた拉致という「国家犯罪」の酷さ・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 子ども向けの人気アニメに「母をたずねて三千里」という番組がある。イタリアに住む少年マルコが、アルゼンチンに出稼ぎに出たまま音信不通になった母をたずねる物語だ

 南米行きの船にもぐりんだマルコが、幾度の危機を乗り越えて母と涙の対面を果たす。母を思うマルコの姿を見ながら、テレビの前で頬をぬらした人もいるのではないか

 会いたくとも、母の記憶がない。彼のそんな境遇に思いをはせた時、現実の残酷さに言葉を失う。北朝鮮による拉致被害者田口八重子さんの長男・飯塚耕一郎さん(32)は一歳の時に突然、母を奪われ、その面影さえも知らない

 飯塚さんと、田口さんから日本語教育を受けた大韓航空機爆破事件実行犯の金賢姫・元死刑囚との面会が近く実現する見通しとなった。二十一歳の時、行方不明だった母が拉致されたことを知らされた飯塚さんは「母を知る人に会うことで、母の人物像を少しでも積み上げたい」という

 元死刑囚の手記には、指を折って、わが子の年齢を数える田口さんの様子がつづられている。幼い息子の記憶のまま、折る指の数だけが増え続ける現実の前で、母はどんな気持ちだったのだろうか。最愛の肉親を引き裂いた拉致という「国家犯罪」の酷さに、あらためて怒りがこみあげてくる。(稲嶺幸弘)

大弦小弦 沖縄タイムス 2009年2月26日 
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「おくりびと」地道な仕事を続ける人たちがいて、世の中は動いている・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 矢沢秀雄さんが亡くなった。一般にはほとんど知られない人で、しかも昨年暮れのことだ。でも、書かずにはいられない

 入社前だったか後だったか記憶は心もとないが、当時首里にあった人形劇団のアジトのような事務所だったと思う。控えめで木訥な男性がカメラを抱えて、影のように劇団員らの活動を追っていた。人なつっこい目だが口数は少ない

 新聞記者として取材で現場にいくようになっても意外な場所でよく出くわした。神出鬼没。大抵が、県や市町村の文化財行政の末端の仕事である遺跡などの発掘作業に携わっていたようだった

 先週土曜日の夜、住まいのあった首里・久場川団地の集会場で追悼会が開かれ約百五十人が出席した。名の知れた文化人は数えるほど。ほとんどが、現場で土にまみれて作業をともにしたような人たちばかり。故人の人柄が伝わった

 東京から駆けつけた長兄の幸一朗さん(73)は「発掘作業が終わり、首里城が復元されたときは、わがことのように喜んでいた」と話してくれた。実家には使い古したカメラが五台あることも

 決して表には出てこないが、こうした地道な仕事を続ける人たちがいて、世の中は動いている。人の死の重さに違いがないのは映画「おくりびと」(滝田洋二郎監督)でも大きなテーマになった。(真久田巧)

大弦小弦 沖縄タイムス 2009年2月25日 
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「クールな日本」社会が殺伐とする中で、静かで美しい表現が人々に届いたのでは・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 以前、「クール・ジャパン」という番組をテレビで見て「へぇー」とうなった。外国の若者たちが日本の文化やファッションなど、意外なモノに「クール(かっこいい)」と感じているのだ

 海外からの思わぬ視線に新鮮さを感じていたら、最近の日本はどうだ。前財務相の失態をはじめ、内閣支持率は下落の一途。頼みの経済でさえ世界的な企業が軒並み赤字―。とてもクールとはいえない

 ところがきのう、海の向こうから久々に「日本かっこいい」と胸を張れるニュースが届いた。米アカデミー賞で日本映画が賞を獲得したのだ。それも二作品が同時受賞という快挙だ

 滝田洋二郎監督の「おくりびと」と加藤久仁生監督の「つみきのいえ」が、それぞれ外国語映画賞と短編アニメ賞に選ばれた。いずれも過激さや派手さはないものの、作る側の思いを淡々と伝える手法が評価されたようだ

 専門家は「経済問題で米国社会が殺伐とする中で、静かで美しい表現が人々に届いたのでは」と分析する。狙って意図したのではないと思うが、米国の時代の空気とマッチしたかもしれない

 海外から日本はどう見られているのか。二つの作品はありがちなステレオタイプではない「クールな日本」を見せてくれたのではないか。政治や経済も、この後に続いてもらいたい。(久高将己)

大弦小弦 沖縄タイムス 2009年2月24日 
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生活苦が借金につながり、やがて多重債務へと流れる・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 二〇〇七年の県内高齢者(六十五歳以上)のうち、刑法犯で検挙された人数は人口十万人当たり一二〇・三人で、一九八九年に比べ約四・六倍増加している。罪種別では窃盗が最も多い

 どうしてこうなってしまったのか。沖縄のおじぃ、おばぁについてはメディアも含め、肯定的なイメージで取り上げられる場合が多かっただけに、この数字にはびっくりした

 増加要因について琉球大学の花城梨枝子教授は、多重債務に関する講演会の中で「(借金などの)経済状況が関係している」と指摘した。生活困窮から犯罪に走るパターンとみている

 一方で、景気の悪化は若者の希望をもつみ取る。花城教授によると授業料が払えないため、四年次になって大学をやめていく学生が増えているという。親の収入の落ち込みが退学に直結する

 生活苦が借金につながり、やがて多重債務へと流れる。身近に貸してくれる人がいなければ消費者金融が頼りだ。高金利で返済が難しくなり、借りては返す自転車操業の多重債務に陥る

 国民の八・五人に一人が消費者金融を利用する時代だ。もはや個人の問題として片付けることはできない社会問題と言える。しかし、消費生活相談窓口に専門相談員を配置しているのは県内で五市のみ(昨年七月現在)。相談・支援の充実が急務だ。(崎浜秀也)

大弦小弦 沖縄タイムス 2009年2月23日 
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失望が繰り返されれば、絶望感を味わわされ、怒りは徒労感に・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 「欠席して黙るより、話すことを選んだ」。作家の村上春樹さんが、イスラエルの文学賞「エルサレム賞」の授賞式でこう語った

 イスラエルのガザ地区攻撃では子どもを含む市民ら千三百人以上が死に、日本国内の市民団体が受賞の辞退を呼び掛けていた。生と死や戦争忌避を描いてきた作家の熟慮の末の「選択」は興味深い

 講演で攻撃を批判し、制度(体制)を「壁」に、人間を「壁にぶつかって壊れる卵」に例えた。卵は「個性を持つかけがえのない存在」で「壁は高く希望を見失いがちだが、制度が私たちを利用するのを許してはならない」と個人の尊厳を強調した

 沖縄をよく知る県外の人たちに「沖縄の人はなぜもっと米軍基地問題に怒らないのか」と、たびたび問われたことを思い出した。沖縄は常に卵であり、長年、高い壁に絶望感を味わわされ、怒りは徒労感に変えさせられた

 先日も金武町伊芸区の流弾事件が「刑事事件での立件は困難」とされ、捜査は事実上終結する見通しだ。刑法という制度の死角が住民の抱える「命の不安」を放り出している

 失望が繰り返されれば「怒り」はおりのように重なる。村上さんの言葉をもじれば「制度の増殖を許してはならない。制度が私たちをつくるのではなく、私たちが制度をつくるのだ」に行き着く。(与那嶺一枝)

大弦小弦 沖縄タイムス 2009年2月22日 
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匿名・成り済まし詐欺が横行。「あなた」自身の証明は・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 双子の兄弟がある出来事をきっかけに入れ替わった。五十年以上たつ今もそのまま暮らす。ミステリー小説のようで実話だ

 いきさつはこう。兄のA君が幼稚園に上がる直前、足に大けがをした。急きょB君が代わりに行くことになった。それを境に公の場では名前が入れ替わる。まだ幼くて背格好や顔も似ているから、不自然さはなかったのだろう

 なぜ“公の場”かといえば、家族や近い親類の間では今もAさんは「Bちゃん」で、Bさんは「Aちゃん」と幼い時のわらび名で呼ばれているからだ。でも双子なのになぜ一方だけ先に幼稚園へ?

 本人の説明によると「当時は出生届が半年や一年遅れはざらで、役場に行く人が周辺にいれば手続きを頼んだ。僕らは双子だけど、いずれかの届け出が遅れたと聞いている。馬車で通うほどの田舎だし、おおらかな時代だから」

 それでも戸籍の名前と人が入れ替わったわけで…「何の問題もなかったな。届けが遅れようがどうしようが元気に育つよ」。確かに両氏とも、それぞれの道で立派な業績を積み上げている有名人だ

 ネットに匿名がはばかり、成り済まし詐欺が横行、それに対抗しDNA鑑定が万能化する。なのに受精卵の誤移植が起きる世の中、あなたは間違いなくあなた自身だと、どうやって証明します?(山城興朝)

大弦小弦 沖縄タイムス 2009年2月21日 
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「もうろう会見」何事もなかったかのように進む会見に違和感・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 繰り返し放送される中川昭一前財務相の「もうろう会見」を見ながら、その場に居合わせた記者たちはどう思ったのか、と疑問がわいてきた

 「なぜ対応の異常さを問いたださないのか」とテレビを見た人たちは率直に感じただろう。問いたださないまでも、「体調」についての質問があって当然。むしろ何事もなかったかのように進む会見に違和感を持ったはずだ

 政治家の取材で難しいのは、相手との距離の取り方である。近づかなければ話は聞けないし、近づきすぎるとチェック機能が鈍る。常に自分の立ち位置を意識しないと、バランスは簡単に崩れる

 ローマでの会見は、日ごろから中川氏と接する機会の多い記者が中心だったという。「慣れ」や「遠慮」があったのだろうか。本筋ではないことは聞かないという、見えない圧力が働いたのかもしれない

 九年前、森喜朗首相の「神の国」発言をめぐる釈明会見で、首相官邸記者クラブのメンバーが書いたとみられる「指南書」が見つかり騒動となった。政治家とのなれ合いを示す出来事で、記者の倫理観が厳しく問われた

 公平な言論のために独立性は欠かせない。政治家とやり合うには知識も度胸も必要。基本は「誰の立場に立って報道するか」だ。自戒を込めて確認したい。(森田美奈子)

大弦小弦 沖縄タイムス 2009年2月20日 
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「飲んでも飲まれるな」百薬の長の目もりのむずかしさ・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 「父ちゃん、酔っぱらうってどんなこと」「ここにグラスが二つあるだろう。これが四つに見えだしたら、酔っぱらったってことだ」「父ちゃん、グラスは一つしかないよ」

 ロシアの有名な小話だが、「父ちゃん」を「大臣」に変えて質問してみたかった。ローマでの先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議の閉幕後の会見で、もうろうとする中川昭一財務相の姿を見ながら思った

 本人は、風邪薬の飲みすぎが原因と釈明したが、すんなり納得する人はいまい。会見中に水を飲もうと、中川氏が隣の日銀総裁のグラスに手を伸ばす映像を見た時、先の小話が浮かんだ

 中川氏は昼食会などでワインを口にしたと説明したが、「醜態」の原因をご当地ワインにすれば、恥の上塗りになる。薬のせいにしたところで、失った日本の信用は戻ってはこない

 中川氏には、以前から飲酒にまつわる悪評が絶えなかったという。周囲は「飲んでも飲まれるな」とたしなめてきたらしいが、「百薬の長の目もりのむずかしさ」(サラリーマン川柳)だったのか

 当初は中川氏をかばった麻生太郎首相も、予想を超える批判の強さに辞任を認めてしまった。世界不況に立ち向うべき政権トップの読みの甘さと、担当閣僚の哀れな退場劇には、有権者の方がもうろうとした気分になってしまう。(稲嶺幸弘)

大弦小弦 沖縄タイムス 2009年2月19日 
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