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家族の喜怒哀楽「敬老の日」おとなの疲れた靴ばかりならぶ玄関・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 「お母さん詩人」とも呼ばれた高田敏子さん(故人)に、印象に残る「小さな靴」と題した作品がある

 〈小さな靴が玄関においてある/満二歳になる英子の靴だ/忘れて行ったまま二カ月ほどが過ぎていて/英子の足にはもう合わない/子供はそうして次々に/新しい靴にはきかえてゆく〉

 なにげない日常の光景を詠んだこの一節に、孫娘のすこやかな成長に喜び驚きながら、目を細める優しい祖母の姿が浮かんでくる。高田さんは、玄関に並んだ靴には、家族の変遷が端的に映し出されるのだとも言っている

 最初は二足だった靴は、そのそばに、小さな靴が一つ、二つと増え、次第に大きくなっていく。やがて、時が経てば、靴は一つ消え、また一つ消えていき、玄関は元の二足に戻っていく。靴には、家族の喜怒哀楽が詰まっている

 21日の「敬老の日」、久しぶりに、たくさんの靴が帰ってきたお宅も多かったのではないか。にぎやかな玄関の様子と、かつての記憶を重ね合わせ、子や孫の成長に目を細めた方もおられるだろう

 先の詩はこう結ばれている。〈おとなの疲れた靴ばかりならぶ玄関に/小さな靴はおいてある/花を飾るよりずっと明るい〉。どんな贈り物や言葉もかなわない、祖父母に元気をくれる魔法の靴が今年もきっと活躍したのだろう。(稲嶺幸弘)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2009年9月24日 
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