ひとごとだと思わないで「ピンクリボン」奥さんや恋人には定期検診を勧めてほしい・・・ 大弦小弦 八葉蓮華

　「今、伝えたいことが心の底からあふれている」。９カ月前、全国紙のインタビューで音楽への思いを語ったロック歌手の川村カオリさんが７月２８日、亡くなった。３８歳の若さだった

　川村さんは５年前に乳がんが見つかり、左乳房を全摘出。昨年秋、がんの再発と肺などへの転移を公表した。音楽活動を続けながらの闘病の様子は、テレビのドキュメントでも伝えられた

　真正面からがんと向き合う姿、「生きる」ことへのひたむきさ、幼い娘を思う胸中が多くの女性らの共感を呼んだ。訃報が伝えられて以来、公式ブログには１万を超すコメントが寄せられている

　日本では女性の２０人に一人がかかると推計されている乳がん。ホルモン環境の変化などを背景に急増しているが、早期発見・治療で９０％が治るという。定期検診が重要なのは言うまでもない

　ただし「乳がん適齢期」とされる４０代は、女性にとっては子育てなどに追われ、自分自身のケアは常に後回しとなりがち。受診を後押しするには、主な当事者である女性たちへの啓発とともに、社会全体の理解が必要だ

　乳がんの早期発見の重要性を訴える「ピンクリボン」活動に参加していた川村さんは、こうも語っていたという。「奥さんや恋人には定期検診を勧めてほしい。ひとごとだと思わないで」。（奥村敦子）

　大弦小弦　沖縄タイムス 2009年8月2日　
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