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この世をおさらばしたあとも、おのれの意志の跡継ぎは絶えないだろう・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 「生き残れたのはお酒を飲んでいたからかもしれない」。黒い雨に打たれ、おびただしい犠牲者に囲まれた被爆者は根拠なき理由も含め、「なぜ自分だけ生き延びたのか」と自問する人が多かったという

 被爆者の肉声を40年間聞き取り続けた伊藤明彦さんと会ったのは3年前。長崎で幼少期を過ごし、8歳で「入市被爆」。就職した地元テレビ局の取材を契機に、核廃絶のために生きることを選んだ

 退職金で買った録音機を担ぎ、全国へ。聞き取り時間を割くため、夜と早朝のバイトで生計をたてた。沖縄から徴用され、長崎の造船所で被爆した男性を含め、1003人分を集めた

 「つらい思いで話してくれた人たちのことを思えば」と、まとめたテープやCDは、全国の図書館などに無償で配布。「核の恐ろしさが世界中に伝わる」。夢はそれを核保有国すべての言語に訳すること

 被爆者を再訪し、映像に収める活動を始めていた。道半ばの72歳。今春、帰らぬ人となった。高村光太郎の詩「冬の言葉」を好んだ。一節はこう結ばれている「一生を棒にふって人生に関与せよと。」。生涯独身を通した

 自身のブログにはこう記した。「この世をおさらばしたあとも、おのれの意志の跡継ぎは絶えないだろうことを信じつつ」。長崎は明日、被爆から64年の夏。(石川達也)

 大弦小弦 沖縄タイムス 2009年8月8日 
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