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煙たい参謀をそばに置けるか否か、耳に痛い忠言を聞けるか否か・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 1980年代の中曽根政権時代、後藤田正晴官房長官が自身の首を賭け、首相の方針に反対したことがある

 当時はイラン・イラク戦争のさ中。中曽根康弘首相は、近海を通るタンカーの護衛に海上自衛隊の掃海艇を派遣することに前向きだった。対する参謀役の後藤田氏は「戦争になります。閣議で私はサインしませんから」と罷免覚悟で異を唱え、首相に方針を撤回させる

 先日就任した菅直人首相は、後藤田氏を念頭に「官房長官は、場合によっては首相に対しても『ここはまずいですよ』と言える人物でなければならない」と語り、「煙たい存在」と評する仙谷由人氏を起用した

 先の例のように、国のトップが判断を誤れば、計り知れないリスクをはらむ。企業や組織も同じで、権力が集中するトップに耳の痛い忠言が届かなければ、時に適切な判断を下す妨げになる

 江戸中期の商人向けの書に「商人生業鑑(あきんどすぎわいかがみ)」(岩垣光定著)がある。今風に言うなら、社長心得読本か。元禄バブルに酔い、周囲の甘言に浮き足立つ有力商人たちに次のような言葉でクギを刺す

 「主人に諫言(かんげん)する家来あれば家は治る。我慢を止めて神妙に聞くがよい」。煙たい参謀をそばに置けるか否か、耳に痛い忠言を聞けるか否か。結局は、トップの見識、度量次第なのだろう。(稲嶺幸弘)

 大弦小弦 沖縄タイムス  2010年6月17日 
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