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「忘」心が亡ぶ「記憶にない」政治家、役人が嘘を隠す時に使う・・・ 大弦小弦 八葉蓮華 [大弦小弦]

 「忘却とは忘れ去ることなり。忘れ得ずして忘却を誓う心のかなしさよ」。名作ドラマ『君の名は』の冒頭に流れるナレーションの一節だ

 忘れるということは、心に誓ってできるものではない。失恋の時と同じで、忘れようと思うほど、逆に記憶は蘇る。「意思ではなくて、時が恋を終わらせる」(ローマの劇作家P・シルス)のだろう

 でも、そのお方は自らの発言をいとも簡単にお忘れになったらしい。違法献金事件に関し、記者団とのオフレコ懇談で「自民党に捜査は及ばない」と発言した政府高官として報じられ、「君の名は」との野党の追及に政府が名を明かした漆間巌官房副長官のことだ

 発言を認めると、民主党が指摘する「国策捜査」との疑念を深めることになる。一般論だったと弁解しても、政党名を挙げたとなれば、高官として軽率とのそしりは免れまい

 そこで、漆間氏は「忘れた」ではなく、「記憶にない」との言葉で火の粉を払おうと必死だ。記者団との間で「言った」「記憶にない」との水掛け論が続くが、真実は一つである

 『悪魔の辞典』を書いた米国の風刺家A・ビアス(故人)なら、「記憶にない」との言葉をこう皮肉るだろう。「政治家、役人が嘘を隠す時に使う常套句」と。「忘」という字は、心が「亡(ほろ)ぶ」とも読める。(稲嶺幸弘)

大弦小弦 沖縄タイムス 2009年3月12日 
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